みなさまへ
2020年2月23日に入院治療を終えて無事に退院することが出来ました。
治療を受けながら必死に「みなさまへ」を書いていたことを思い出します。急性骨髄性白血病闘病記は、これからは入院中の出来事でまだ書き終わっていない部分と退院後の経過観察や病気と共にある生活の中で感じた事をお伝えしていきます。
仕事への復帰と5年の経過観察が終わった時をゴールに走り続けます。これからも宜しくお願いいたします。
9月5日、一時帰宅もできずに緊急入院し、翌日、急性骨髄性白血病との診断を受けました。倦怠感や知覚過敏と錯覚した歯茎の痛み、痛み止めを飲まないと仕事の出来ない頭痛等があったのですが、年齢的な夏疲れや口腔内の問題と考えていました。
振り返ってみると明らかな病気の症状でした。幸いなことに婦人科の定期検診で、気になる事があり血液検査をした事から先生が異変に気づいてくださいました。この病気は日単位で悪化するそうで、僅か3日後に病院に紹介状を戴きに行った際には、地下鉄の駅の階段を上るのも苦しく息が切れる程でした。
病気の原因はまだ充分にわかっている訳ではありませんが、遺伝的要因ではなく、放射線や化学物質等と言われています。勿論、それらは身辺にありませんでした。唯、独りで休みなく働きつづけざるを得なかった状況と精神的なストレスが極限に達していたと思います。
発病によって、30代前半迄は会話も人付き合いも苦手だった私を、いま此れほど多くの人が支えてくださる事に驚き、とても感謝しています。
此れを書いている時点で最初の寛解導入療法の抗がん剤治療が終わり、正常な白血球と免疫力が回復するのを待っています。その後、地固め療法という抗がん剤治療を何回か繰り返し、終了後、他の癌と同様に5年は経過を見ることになります。
白血病は細菌やウィルス等、様々な外的侵入と闘う免疫細胞の生産を担う重要な部分のがんです。その為、治療後も再発などによって免疫力が低下するリスクが減少するまでは、残念ながら養鶏の現場に戻ることができなくなりました。
みなさまのお顔や卵を必要としてくださっているお気持ちを考えると大変申し訳なく思います。入院により同じ病気を背負ってもそれぞれ人生、立場、年齢等によって苦しみも悩みも異なることに気づきました。私は悲観も楽観もせず現在を受け止めています。
治療が終わって復帰できた時には、これまでの仕事とは大きく変わると思います。再発や余命の心配もありますが持てる力で奥村土牛研究と文章の執筆、養鶏を核にした交流、杉並区との協力、平飼い養鶏の後進の育成等をしたいと願っています。
暫し治療に専念し、又みなさまのお役に立ち、共に喜べる日常を取り戻すまで忘れずに見守ってくださいますよう切にお願い申し上げます。
2019年9月24日
窪田幸子